横浜FCと横浜FCと横浜FCとあと横浜FCなんかに関して書いたり書かなかったりします。ほかの事を書くこともあります。
by naminos
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虚構だったと判明した記憶のストーリー8
キスを終えてもその先に進めなかったのは2つ理由があってまず俺がどうしようもないぐらいに童貞だったということと、コンドームがなかったということ。そしてその2枚の壁を破るほどには酔ってなかったということだ。

彼女の方も思いを伝えた時点で満足しているような感じで、それ以上には積極的に動いてはくれず、何か2人で照れながらもじもじしていた。今となっては確かめる術もないが、彼女も未経験だったのかもしれない。

彼女は僕によりかかり肩に頭をあずけてきた。僕は肩に手を回して手を握って、またいろいろな話をした。

時計を見ると日付が変わるところだった。
「・・・お風呂終わっちゃってる・・・」
「あ、ほんとだ・・」
この部屋にも僕の部屋にも風呂はない。この辺りの学生向け物件の多くはまだ風呂がない。もっぱら銭湯を利用していた。
そんなこんなでとりあえず今日のところは帰ることになった。
当時は携帯などない時代。俺の下宿は電話がない。彼女の部屋もまだ電話がなかった。権利を買うのに7万円。ここの学生は2年から3年になるときに引越しをしなければならないので買わないで済ます人も少なくない。彼女もその一人だった。

「今度俺の家教えるね」
「そだねー。」
「・・・汚いけど」
「・・・そだねー・・」
言ってまた2人で笑った。
会話のテンポが心地いいほどに噛み合っていて、僕は彼女がとても好きになっていた。彼女はどう思っていたのだろうか。

僕は帰り支度をしながら聞いた
「明日どっか行く?」
「ごめんね。明日明後日は実家なのよ」
「そっか。じゃまた今度」
「どこ連れてってくれるの」
「お城以外のどこか」
「なんでお城以外?」
「お城は別れのジンクスがあるからダメなんだよ」
「地元情報ありがと」
かといって高校生が自転車で連れ出せる場所など限られている。市街の映画館に行くことにして、僕は別れを告げた。

「送るよ」
「待て待て。俺が送るならともかく、女の子に送らせるわけにはいかん」
「大丈夫だよ」
「ダメです。」
「ケチ」
「ケチなのかな?」
「違うかも」
「大人しく部屋に戻りなさい」
「はーい」
「じゃまた・・」
「ちょっとさ、寂しくない?」
「何。」
「何もなしで行くの?」
「えーっと」
「んーーー」
俺はまさかキスをせがまれているとは思いもしなかったので、あわてて唇を重ねた。周囲の目がないか気になってしまってあまり集中できなかった。
「おやすみー」
「風邪引かないでね」
「大丈夫大丈夫」
「また会えるよね」
「バイト一緒なんだし」
「シフト合わせちゃった!」
「照れるよ!」
「じゃね」
「うん」

僕らはもう一度だけキスをした。

そして彼女はいなくなった。

つづく?
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by naminos | 2005-04-01 23:06 | 思い出
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